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国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇の検索結果

もしかして: 国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇 

鶴岡市における行政文書の 評価選別の変遷について~現状と問題点~ CiNiiでみる

著者名:
今野 章 

抄録:
本稿では、鶴岡市における行政文書の評価選別についてのこれまでの経緯と現状、並びに課題を論ずるものである。 鶴岡市においては、昭和30年代に周辺地域の2町9村が編入合併されたが、その際、旧町村役場資料については、昭和40年(1965)から3年かけて収集し、整理を進めてきた。また、同年に「鶴岡市文書管理規定」を制定するが、その中には明記されなかったものの、当時より保存年限が切れた行政資料の保存に取り組んでいた。当初、資料の評価選別の業務については、庶務課(当時)があたっていたが、昭和51年(1976)6月に文書館的機能を有することを特色として打ち出した鶴岡市郷土資料館が設立したことから、その業務は郷土資料館が引き継いでいくことになった。 しかしながら、近年の評価選別については、通常、文書館が行っている視点から乖離して、郷土資料館的な視点が定着していくことになる。先駆的に行政資料の保存に取り組んできた鶴岡市であるが、結局のところ、「文書館」としての機能を有するまでには至らなかったという点が本稿の主題となる。 山形県においても、平成31年(2019)2月に公文書館管理条例が制定されたように、市町村レベルにおいてもその制定が議論されている今日の状況で、今後の鶴岡市における文書保存・公開について考えていきたい。

出版年月日:
2020-03-16 , 
巻:
51 , 
号:
16 , 
ページ:
139-146 , 
ISSN:
1880-2249

鹿児島市における歴史的公文書に関する取組み CiNiiでみる

著者名:
岩下 格 

抄録:
本稿は、鹿児島市公文書管理委員としての経験を踏まえ、「歴史的公文書等の保存・管理に関する取扱方針」を策定した鹿児島市の取組みを考察する。 平成合併後の鹿児島市は、貴重な文書など歴史的公文書を含む永年保存文書等が多数の書庫等で分散管理されており、一部では文書が適切に保存されていないものがあるなど、取組むべき課題が明らかになった。このような現状を解決するために、外部の専門家等で構成する公文書管理検討委員会が設置された。 平成23年(2011)に施行された公文書の管理に関する法律の趣旨を踏まえ、市民共有の知的資源である歴史的公文書等を、適切な保存・管理を行なうために「歴史的公文書等の保存・管理に関する取扱方針」を策定した

出版年月日:
2020-03-16 , 
巻:
51 , 
号:
16 , 
ページ:
129-138 , 
ISSN:
1880-2249

病院アーカイブズ構築のモデル研究 CiNiiでみる

著者名:
白山 友里恵 

抄録:
本論文は、民間病院におけるアーカイブズ構築のために、記録のおかれている情況や特性を整理し、そのモデルを提示することを目的とする。私たちの多くが病院で誕生し、亡くなる今日の社会において、そこで生み出される記録は私たちの生活や人生に密接に関わる。しかし、医療アーカイブズのなかでも病院の記録はアーカイブズ構築が未発達な分野であることが指摘されているが、医療関係者の側に立ったプランの提案がなされてこなかった。よって本論文では、医療アーカイブズのなかでも病院の記録に焦点を当て、アーカイブズ構築のために何が必要であるのかを検討した。 具体的には、関連する法律やガイドラインから病院における管理の現状を確認し、併せて病院の記録の特性を整理する。次に個人情報保護法と密接に関連する点に着目し、それゆえ医療関係者との協力が他分野よりも必要とされることを指摘する。このときアーキビストと連携する存在として、診療情報管理士に注目する。この役職は病院の記録のなかで扱いに慎重さが要請される診療記録を管理する存在であり、病院における一種のレコードマネージャーの役割を担っている。最後にアーキビストと診療情報管理士との連携を前提とした民間病院におけるアーカイブズ構築のモデルプランを検討することで、病院アーカイブズ構築に向けた展望としたい。

出版年月日:
2020-03-16 , 
巻:
51 , 
号:
16 , 
ページ:
75-91 , 
ISSN:
1880-2249

近現代建築資料の編成記述―大髙正人建築設計資料群を事例に CiNiiでみる

著者名:
藤本 貴子 

抄録:
本稿では、文化庁国立近現代建築資料館(以下、建築資料館)で収蔵している大髙正人建築設計資料群を事例に、近現代建築資料の編成記述について検討する。大髙正人(1923−2010)は、建築のみならず都市計画の分野でも活躍した建築家である。当該資料群はその活動の幅広さを反映しており、建築設計図面に加えて、大判の都市計画図や大量の報告書等も含まれている。建築資料館は2013年の開館以来、近現代建築資料の収集や展覧会開催を通じての活用とともに、資料整理の方法についても検討を行ってきた。その過程を振り返り、整理方法の再検討を行ったうえで、早期の閲覧公開を実現することを目指す観点から、近現代建築資料の編成記述方法について考察し、今後の課題について述べる。

出版年月日:
2020-03-16 , 
巻:
51 , 
号:
16 , 
ページ:
57-73 , 
ISSN:
1880-2249

中近世ヴェネツィアにおける宗教兄弟会のアーカイブズ管理 CiNiiでみる

著者名:
高見 純 

抄録:
13世紀以来、イタリア北中部では都市政府による記録文書の保存と管理が本格的に開始された。干潟の大商業都市ヴェネツィアも例外ではなく、15世紀以降に書記局を中心に過去の記録を整理し、文書形成と管理を拡大的に整備・進展させ、現在でも、ヨーロッパで有数の量の記録文書を伝え際だった存在感を示す。 これまで、ヴェネツィアの文書管理については、書記局官僚の形成とともに、主に都市政府による統治・行政の範囲内で解明が進んできた。一方で、都市政府という枠組みの外にある民間実践については、十分な検討が進んでこなかった。 そこで、本稿では、13世紀に成立し、15世紀以降に都市の主要な慈善団体の1つとして近世まで大きな存在感を有し続けた大規模宗教兄弟会を事例にして、同団体による文書管理を検討する。それによって、慣習法の蓄積への対応に追われた都市政府による管理との類似性が指摘されるとともに、15世紀から16世紀前半にかけて多くの遺産管理を担うことになった同団体の事情が文書管理に及ぼした影響も考察される。また、本稿の事例によって、都市ヴェネツィアにおける幅広い<アーカイブズ実践>の社会状況についての一端を明らかにすることも期待される。

出版年月日:
2020-03-16 , 
巻:
51 , 
号:
16 , 
ページ:
17-37 , 
ISSN:
1880-2249

西多摩郡檜原村での歴史資料保全と地方協創の可能性 CiNiiでみる

著者名:
西村 慎太郎 

抄録:
本稿は筆者が現在展開している東京都西多摩郡檜原村を事例として、同村がどのような歴史資料(主に古文書)の保全を進めてきたか、文化財行政や郷土史の動向を踏まえた上で、歴史資料の保全・資源化・活用の現状と課題、実践と可能性を提示するものである。また、筆者が檜原村と関わりを持つ契機になった文書群の目録編成についても合わせて述べてみたい。 檜原村は1970年代から80年代にかけて、自治体史編纂や郷土史研究、資料保全が盛んであり、郷土資料館建設にまで至った。昨今の全国における地域に遺された古文書の散逸状況を踏まえて、檜原村の現状をヒアリングした結果、多くの課題が遺されていることを知り、「檜原村における歴史資料(特に古文書)の保全・活用についての提案」を教育委員会へ提案した。その際、歴史資料が地域のアイデンティティであるという言説は、現代社会において通じにくいため、一文書群を事例として、アーカイブズ的な目録編成を行い、その文書群の特徴を提示することで、教育委員会に対して重要性を提起した。 学術的には、アーカイブズ学と歴史学、地域歴史資料学をミックスして、地域貢献や地域持続を住民とともに目指すことの実践を提示する。

出版年月日:
2020-03-16 , 
巻:
51 , 
号:
16 , 
ページ:
1-15 , 
ISSN:
1880-2249

鶴岡市における行政文書の評価選別の変遷について : 現状と問題点 (小特集 アーカイブズ・ノート) CiNiiでみる

著者名:
今野 章 

抄録:

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
139-146 , 
ISSN:
1880-2249

鹿児島市における歴史的公文書に関する取組み (小特集 アーカイブズ・ノート) CiNiiでみる

著者名:
岩下 格 

抄録:

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
129-138 , 
ISSN:
1880-2249

病院アーカイブズ構築のモデル研究 CiNiiでみる

著者名:
白山 友里恵 

抄録:

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
75-91 , 
ISSN:
1880-2249

近現代建築資料の編成記述 : 大髙正人建築設計資料群を事例に CiNiiでみる

著者名:
藤本 貴子 

抄録:

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
57-73 , 
ISSN:
1880-2249

中近世ヴェネツィアにおける宗教兄弟会のアーカイブズ管理 CiNiiでみる

著者名:
高見 純 

抄録:

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
17-37 , 
ISSN:
1880-2249

西多摩郡檜原村での歴史資料保全と地方協創の可能性 CiNiiでみる

著者名:
西村 慎太郎 

抄録:

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
1-15 , 
ISSN:
1880-2249

モンゴル国のカザフ音楽アーカイブズ・アルトゥンコル : その設立と維持 (小特集 アーカイブズ・ノート) CiNiiでみる

著者名:
八木 風輝 

抄録:
旧ソ連圏にある音楽アーカイブズは、首都に設立された音楽アーカイブズの設立と維持が従来報告されてきた。本稿は、旧ソ連の衛星国であったモンゴル国の最西部に位置するバヤンウルギー県を対象とし、そこに1960年代に設立された音楽アーカイブズを取り上げる。バヤンウルギー県は、少数民族のカザフ人が県人口の9割を占めている。バヤンウルギー県の県庁所在地にあたるウルギー市には、バヤンウルギー県地方ラジオ・テレビ局があり、局内に「アルトゥンコル」という音楽アーカイブズがある。設置当時から、当県のカザフ音楽の演奏を磁気テープに記録・収録する活動が行われてきた。現在、アルトゥンコルには、2000曲を超える社会主義期に録音されたカザフ語、モンゴル語、ロシア語の音源が保管されている。本稿は、筆者が2018年にアルトゥンコルでのデジタル化に参与した際のデータを用い、アルトゥンコル設立の過程、収蔵シリーズの特徴、収蔵音源の詳細、保存環境について考察する。社会主義体制が崩壊した後、保存媒体である磁気テープを維持する環境や、デジタル化に様々な課題を抱えているが、アルトゥンコルに収蔵された曲は、社会主義期にモンゴル国のカザフ人が演奏した音楽を再現できる可能性を持ち、社会主義期の演奏実態を解明する一助となる。

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
161-170 , 
ISSN:
1880-2249

ISAD(G)及びAtoMを用いた個人文書の編成・記述・公開 : エル・ライブラリー所蔵「辻保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)」を例として (小特集 アーカイブズ・ノート) CiNiiでみる

著者名:
下久保 恵子 

抄録:
本稿では、近現代個人文書である「辻保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)」について、ISAD(G)を用いて目録の編成、記述を試みた。個人文書の編成については、組織資料と異なり、編成方針が確立されていない。特に本資料については、資料作成年次が短期間で、編年による編成が困難であった。一方、会社、労働組合、文化サークル等多様な資料作成者が含まれることから、作成者を基準としたシリーズ編成を行うこととし、下部組織等で細分化できる場合はサブシリーズを設定した。また、シリーズまたはサブシリーズ記述の「範囲と内容」に主題による分類を表示するとともに、本資料の特徴である職場新聞・サークル誌等文化・表現活動関連の発行物タイトルを記載し、情報量の増加を図った。 現在、目録のweb公開のため、他機関とも共同し、ICA標準に準拠したオープンソースアプリケーションであるAtoMを試用、検証中である。この際、アーカイブズ記述の刊行物タイトルから図書館システム書誌へのリンク、一覧表の添付等により、多元的アクセスを工夫している。また、AtoMではISAARに準拠した典拠レコードを作成できるが、アーカイブズの典拠レコードについては、図書館と異なり、典拠レコード作成の国内標準や統一的な典拠ファイルが存在しない。典拠作成ルールの検討、アーカイブズ以外の情報資源との連携、アクセスポイントの充実等が今後の課題である。

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
147-160 , 
ISSN:
1880-2249

オーラルヒストリー・アーカイブズ構築を考える : 『沖縄県史9巻沖縄戦記録1』関連資料郡をめぐって CiNiiでみる

著者名:
須田 佳実 

抄録:
本稿は、沖縄県公文書館に所蔵されている『沖縄県史9巻沖縄戦記録1』関連資料群を事例に、オーラルヒストリー・アーカイブズ構築の意義と在り方を論じるものである。アーカイブズ学におけるオーラルヒストリーは、インタビューの場だけでなく、構想段階からインタビューの実地、そして編集の過程を経て刊行されるまでの一連の流れを指し、その過程で作成された記録をコンテクスト情報として残す必要性が訴えられてきた。しかし、そうした議論には現場とのずれがあった。そこで本稿では、コンテクスト情報として作成・捕捉されるべきと言われるのはどのような記録を指しているのか先行研究から概観し、そうした記録がもつ意味を『沖縄県史9巻沖縄戦記録1』関連資料群の中身と照合しながら分析を行った。『沖縄県史9巻沖縄戦記録1』は、現在のようなオーラルヒストリーの価値や方法論が確立する前に行われたオーラルヒストリーの嚆矢として、その画期性や歴史的意義が沖縄現代史やオーラルヒストリー、そして音声記録の保存と公開という点からアーカイブズ学においても注目されてきた。しかし、作成された資料群は、偶発的に残されたが故の課題を抱えていた。そうした課題に対し、不在の記録や語り手の主体という視点からもアーカイブズ構築を考えていくべきだという問題提起を行った。

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
111-128 , 
ISSN:
1880-2249

私立医科大学アーカイブズの現状と課題 : 愛知医科大学アーカイブズの事例を中心に CiNiiでみる

著者名:
福武 亨 

抄録:
本稿では、愛知医科大学の事例を中心に実務的な立場から私立医科大学の現状と課題を把握し、今後の私立医科大学における大学アーカイブズの展望を示すため,アンケート調査と取材を行い他大学との比較を通して考察を試みる。私立医科大学アーカイブズは,機関アーカイブズと収集アーカイブズの側面から課題がある。機関アーカイブズにおける課題は、アーカイブズが法人文書の廃棄、移管について関わっている大学が少ないことである。そこには大学アーカイブズ側と文書を流入させる側の課題がある。大学アーカイブズ側の課題は、大学アーカイブズが法人文書の評価選別を行う際の課題であり,大学内の特定の個人や集団に由来した偏りのある判断を避け,学内外に説得的であることが重要である。文書を流入させる側の課題は,各部署による大学アーカイブズへの移管がうまくいかず廃棄されるという課題であり、大学アーカイブズは、各部署に出向いて現物をみる、現況等を聞くといった各部署とのやりとりが重要である。次に、収集アーカイブズにおける課題は、所蔵点数が少ないことである。愛知医科大学アーカイブズの事例に加え、聖路加国際大学の事例では,学生への広報を取り上げ,金沢医科大学の事例では,所蔵点数の多さを裏付ける出版物、写真等の自動的収集について取り上げる。今後の展望として医科大学においてはカルテ等も大学アーカイブズの収集対象になりえることも触れる。

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
93-109 , 
ISSN:
1880-2249

行政改革と稟議制の変容 : 1950~60年代における公文書管理改善運動の展開を中心に CiNiiでみる

著者名:
伊藤 陽平 

抄録:
本論の目的は、1950~60年代に展開した公文書管理改善運動の中で、行政の意思決定の中核を担っていた稟議制の性格が変容する過程を考察することである。公文書管理改善運動を推進していた人事院、行政管理庁は、末端の起案者から決裁権者の行政長官までが印判を押す稟議制による意思決定を非効率的だと認識していた。戦後初期まで、稟議制は実務に長けたベテランの下級官僚の属人的能力によって運用されており、彼らの影響力をいかに抑えるかが大きな課題となった。高度成長が本格化すると、行政需要の高まりとともに決裁文書も増大した。加えて、財政悪化を抑制するため、公務員数も抑制する必要が生じた。その結果、少ない人員で大量の文書を扱うことができる能率的な行政意思決定が必要となった。こうした状況を背景に、行政管理庁による公文書管理改善運動の最中、決裁権限の委譲と決裁規則の整備が各省庁で進行し、属人的に運用されていた稟議制はよりシステマティックな性格を帯びていった。公文書管理改善運動は、ベテラン下級官僚の力量に依存した属人的行政運営から、一定のマニュアルに基づくシステマティックな行政運営への転換を、文書行政の側面から促進するものであったと言えよう。

出版年月日:
2020-03 , 
巻:
, 
号:
16 , 
ページ:
39-55 , 
ISSN:
1880-2249

《小特集》アーカイブズ・ノート――宗教関係アーカイブズの現状と可能性――イギリスを事例として―― CiNiiでみる

著者名:
西尾 拓海 

抄録:
本稿では、現代の宗教団体の活動から生じる記録の維持管理や、そのための保管施設の在り方について追究することを目的とし、既に具体的な支援策として「宗教関係アーカイブズ支援計画」が実施されているイギリスの事例を、英国国教会と記録保管の歴史、現代の支援計画という二つの側面から検討する。イギリスでは16世紀以来、英国国教会信徒の洗礼・婚姻・埋葬の際に残した記録を各教会が保管をする制度が整えられてきたため、教会が公的な記録管理に関わる伝統が存在する。これは公的な法律によって非宗教的な登録が行われている現在でも、教区記録保管所という形で存続している。この伝統を背景として、現在のイギリスでは宗教団体における記録保管の意義が重要視されており、英国国教会に限らずあらゆる宗教団体がアーカイブズを保有することが奨励され、支援が進められている。その内容は、宗教関係アーカイブズの存在意義を明確化すること、記録管理の現状を調査すること、宗教団体への助言やアーキビストの養成、資金確保への協力など、全面的なバックアップを図ることである。イギリスの宗教関係アーカイブズは、現状として保存環境や人的リソースに多くの問題を抱えているが、公的にそれに対する意義付けがなされ、具体的な支援が行われていることは、肯定的な成果を生み出すものと推察される。将来の日本への応用のため、検討材料として今後も注視しておく必要がある。This article aims to examine maintenance and management of records resulting from the activities of contemporary religious groups and also how the storage facilities should be constructed and operated in order to maintain and manage those records properly. It discusses the case of the United Kingdom where the Religious Archives Support Plan is already implemented as a concrete support measure, focusing on two aspects, the Church of England and history of its archives, and the support plan in modern time. In the United Kingdom, there is a tradition of involvement of the churches in public records management. This is because each Church of England has kept systematically the records of its believers' baptism, marriage, and or burial since the 16th century. The system has survived in the form of a diocesan record office even though non-religious registrations by public law are now being carried out. Having this tradition as the background, in the current United Kingdom, archiving records in religious groups is regarded as significantly important. It is encouraged to retain archives in all religious organizations, not just the UK church, and the support is being advanced. The contents cover giving a full support such as clarifying the significance of existence of Religious Archives, investigating the current state of record management, advising religious groups and training archivists, and cooperating to secure funds. The United Kingdom Religious Archives has many problems in the preservation environment and the human resources. However, those issues are taken up publicly, and concrete support is being made. Therefore, it is inferred that such supports will produce positive outcomes. Considering the possibility of applying these activities to Japanese religious archives in the future, it is necessary to keep our eyes on the United Kingdom Religious Archives.

出版年月日:
2019-03-15 , 
巻:
50 , 
号:
15 , 
ページ:
101-109 , 
ISSN:
1880-2249

《小特集》アーカイブズ・ノート――アーカイブズ資源としての楽譜と目録作成――印刷譜を中心に―― CiNiiでみる

著者名:
内田 枝里 

抄録:
本稿は、音楽分野におけるアーカイブズ学応用の可能性について、印刷譜という視点から考察を行ったものである。楽譜とは、演奏に際して必要不可欠な最低限の情報を記号化したもので、作曲家自身の手による自筆譜と、自筆譜を基に作成され出版された印刷譜とに大別できる。自筆譜に関してはアーカイブズ資料としての整理も始まっているが、印刷譜はその保存意義を認知されておらず、保存体制は整っていない場合が多い。しかし実際には、印刷譜にも使用した演奏家の痕跡が残されていることから、著名な作曲家の自筆譜同様、著名な演奏家の所蔵印刷譜にも保存価値があることを明らかにした。さらに、記録史料記述の一般原則であるISAD(G)と、既に整理されている自筆譜、印刷譜の目録記述を比較した結果、ISAD(G)に設けられている既存の記述項目に当てはめることができない項目が存在した。この項目は、どのような楽器を使って曲が演奏されるかを示した楽器編成に関する記述事項であり、楽譜をアーカイブズ化する場合に必須の記述項目であると結論付けた。また印刷譜においては、出版形態についても記述する必要があるとした。個々の資料群の特徴を見極めながら目録記述を行うことが重要であるが、一般的な記述事項と楽譜特有の記述事項を比較検討していくことで、楽譜、特に印刷譜をアーカイブズ資源として活用する機会を増やすきっかけとなるだろう。This paper examines the possibility of application of archives studies in the music field from the viewpoint of printed score. The music score is a symbolic representation of the minimum information that is essential for performance. The music score can be roughly categorized into manuscripts by the composer him/herself and printed scores created and published on the basis of the manuscripts. As for manuscripts, cataloging of them as archive materials has already begun, but in many cases the preservation system for the printed scores is not prepared, because the significance of their preservation is not yet fully recognized. However, in reality, traces of the performers who used them are left also in printed scores. We could make clear the significance of the preservation of printed scores possessed by prominent performers. Furthermore, as the result of comparing the elements of description defined by the General International Standard Archival Description, ISAD (G), with the bibliographic description of both the manuscripts and printed scores that have already been cataloged, there were items not applicable to the description defined in ISAD (G). Since they were concerned with the description for the list of musical instruments indicating what kind of musical instruments would be played, we concluded that this description item would be indispensable for music score archival. In addition, we suggested that information on the publication form should be included when archiving printed scores. It is important to identify the characteristics of each document group for describing the catalog. However, comparing general description items and descriptions peculiar to music scores will increase the opportunities to utilize music scores, especially printed scores as archives resources.

出版年月日:
2019-03-15 , 
巻:
50 , 
号:
15 , 
ページ:
91-99 , 
ISSN:
1880-2249

戦前期における日系商社の文書作成と管理 CiNiiでみる

著者名:
白田 拓郞 

抄録:
企業が営利活動を展開するとき、そこには多数の人々、部署がかかわり、文書あるいは口頭、公式あるいは非公式に多様な情報がやり取りされる。本稿で取り上げた三井物産は、すでに1880年代には本店への報告体制が確立され、「考課状」(業務報告書)が支店から本店に輻輳された。つまり、三井物産の設立当初から、文書が本支店間で無秩序に文書が移動していたのではなく、規則にもとづき送達された。その規則がどのように整備され、問題点を含んでいたのかを解明することが、本稿の主たる課題である。三井物産が誕生したのは1876(明治9)年であり、翌年からアジア・ヨーロッパの主要都市に拠点を整備していく。そこで本店は、店舗が送付する考課状を通して取引情報を獲得するほか、月次統計の活用を試みた。しかし、報告書とくに統計の作成をめぐり意見はことごとく対立し、すこしでも事務負担を軽減したい店舗側は強硬に反対し、最終的に本店が年次統計の提出を求めて、おおむね理解をえた。ところで、日露戦後~大戦景気前後に広範囲に店舗が新設されると、本店は文書管理に力をそそいだ。「各店発行諸報告書一覧表」を作成し、店舗が作成すべき文書名、提出先と時期を明確にしめしたのである。このように、商社研究において蓄積が乏しい文書管理について検討したが、現場で生成・活用された記録類が、どのように「三井文庫」に移管されたのかなど、考察をとおして新たな課題もみえてきた。When a company develops a profit-making activity, it involves a large number of people and departments and various information is exchanged in documents or orally, officially or informally between them. Mitsui bussan, we discussed in this article, had already established a reporting system to the head office in the 1880s. Back then, Kōka-jō, business reports, sent from the branches were concentrated in the head office. Since the beginning of the establishment of Mitsui bussan, the documents were sent based on rules, rather than disorderly, between the head office and the branches. This article reveals how rules were constructed and what kind of problems occurred. Mitsui bussan was established in 1876 (Meiji 9), and since the following year it had extended his business by placing its bases in major cities in Asia and Europe. As the number of branches increased, the head office attempted to utilize monthly statistics, in addition to acquiring transaction information through Kōka-jō sent by the branches. However, concerning the preparation of the report, in particular the creation of statistics report, the head office and the branches disagreed each other. The branches opposed to preparing the statistics report in branches because they wanted to reduce the burden of doing paperwork as much as possible. Ultimately, the head office asked the branches for submitting an annual statistics report instead of a monthly statistics report, and the branches accepted the alternative. Many stores were newly established in a wide range of areas between the post-Russo-Japanese War and around the boom after the Great War, and so the head office worked on the document management more than ever. The head office created a "table of reports produced by each branch" and clarified the name of the document to be created by each branch, the destination, and also the timing. As discussed above, we have examined documents management with poor accumulation in trading company research. Through these studies, we found new issues such as how the records that were created and utilized on site were transferred to the Mitsui Bunko.

出版年月日:
2019-03-15 , 
巻:
50 , 
号:
15 , 
ページ:
71-89 , 
ISSN:
1880-2249